和の色名~戦国時代の色~

fujidana 和の色名
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こんにちは、カラープランナーの かわべ みえ です。

4月も終盤。
藤の花が見事に咲いていますね。

今日ご紹介する和の色名は、
鎌倉・室町・安土桃山という
武士が活躍する時代のものです。

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春眠暁を覚えず

色とは直接関係はないのですが、
この季節、この言葉を聞く機会、多くないでしょうか?

春は眠たいなぁ、のように使われるこの言葉ですが、
唐の詩人が書いた詩の一節で、もともとの意味は、

「夜明けが早く、いつの間にか朝が訪れるなんて、つくづく春だなぁ」
というもの。

冬から春に季節が変わり、陽気に包まれた春の喜びに満ちたものです。

ちょっとニュアンスが違いますね。

色どころではない時代

政治の中心が京都から鎌倉へ、
そして主役が貴族から武士へと移り変わります。

この時代は戦に明け暮れ、色どころではなかったと見え、
誕生した色名は極端に少なく、なんと16色という
少なさであったとも言われています。

また、この時代は「大航海時代」でもあり、
ポルトガルやスペインといった「南蛮」から
新しいものが入ってきた時代でもあります。

戦国時代は各地の大名の勢力争いです。
応仁の乱にはじまり、室町幕府の将軍 足利義昭を
織田信長が追放して終わる、というのが一般的です。

京都が戦乱の地となり、多くの僧侶や文化人が地方へ
散らばったことにより、文化が地方へと浸透していきました。

また、武士の晴れ舞台 戦場での衣裳である甲冑。
鎧を構成する縅(おどし)の糸の色に工夫をこらして
着飾ったそうです。

紅や紫の使用が許されたため、たいそう華やかな縅が誕生しました。

身を守るとともに、勝負服のような存在でもあったわけですね。

和の色名

kachiiro

褐色(かちいろ)

濃い藍染の色。
藍染は濃さによって様々な色名がありますが、
なかでも黒く見えるほど濃く、紫がかった色。

藍をよく染み込ませるために布を搗(か)つ(=つく)ことが
「勝つ」に通ずると縁起を担いだ色名で、
鎧甲冑の糸などにも使われていました。

aokachi

青褐(あおかち)

青みの強い褐色です。

binroujiguro

檳榔子黒(びんろうじぐろ)

ヤシ科の植物である檳榔子の実で染めた色。
檳榔子は奈良時代に薬用として輸入され、
600年後に染色に使われるようになりました。

武士の間で黒紋付きが流行し、
その最高級とされたのが檳榔子黒です。

aikachi

藍褐(あいかち)

藍色はかなり暗い青ですが、
褐が加わると黒色に近くなります。

tokusairo

木賊色(とくさいろ)

トクサ科に属する植物「トクサ」のような
落ち着いた緑色。

かつては一般的に自生し、栽培もされていて、
茎が硬くザラザラしているため、紙やすりのように
武器や木材を磨くのに利用されていました。

この用途から「砥草」と書かれることもあります。

木賊色の狩衣は、中世の武家や高齢者のもの。

福島県南会津町にある木賊温泉は、かつてトクサが
群生していたところから名づけられたそうです。

miruiro

海松色(みるいろ)

暗い青緑色。

ミルは浅瀬の岩場に生息する海藻で、
水松と書くことも。

古来より食用とされ、「万葉集」や「風土記」にも
記されています。

鎌倉時代から室町時代に愛好された色ですが、
色名が広がったのは江戸時代と言われています。

また色だけでなく、文様としても用いられました。

mushiao

虫襖(むしあお)

玉虫の羽根のような色。
虫襖の虫は玉虫のこと。
鎌倉時代に誕生した色名です。

suoukou

蘇芳香(すおうこう)

香色を染める丁子の代用として、
蘇芳(すおう)と黄蘗(きはだ)で染めました。

sumi

墨(すみ)

純黒ではなく微かに明るみの残る穏やかな黒。
黒に近い灰黒色、とも言われます。

墨の濃淡を表す「墨の五彩」は「焦(しょう)・濃(のう)
・重(じゅう)・淡(たん)・清(せい)」で、
墨は「焦」にあたります。

平安時代以前には、僧衣や喪服に用いられましたが、
近世以降は平常着にも使われるようになりました。

oribe

織部(おりべ)

織部焼の緑釉の色。
織部焼は茶人 古田織部の指導を受けて焼かれたもの。

古田織部は信長、秀吉、家康に仕えた武将であり、
千利休と深い信頼関係で結ばれた弟子で、
利休の高弟7人を指す「利休七哲(りきゅうしちてつ)」の一人。

38歳頃、利休に弟子入りし、初の茶会出席は40歳。
利休亡き後、秀吉の茶頭となりましたが、
秀吉の死後、隠居していた72歳の時に
家康に「危険人物」として切腹を命じられます。

syoujyouhi

猩々緋(しょうじょうひ)

鮮やかな深紅で、猩々という動物の毛色や
血のような色とされています。

猩々とは、オランウータン、
または中国の伝説上の猿に似た動物のこと。

能の演目「猩々」では赤毛の装束を纏います。

染料はカイガラムシから採った色素で、
戦国時代から江戸時代初めに南蛮貿易で輸入された、
それまでの日本になかった鮮やかな緋色の羅紗(らしゃ)が
武将の陣羽織に用いられました。

kiniro

金色(きんいろ)

安土桃山時代を象徴する色。
富みや権力の象徴としての自己顕示的な色です。

kusairo

草色(くさいろ)

くすみのある黄緑色。

今回の和の色名はいかがでしたでしょうか?
戦国時代、戦ばかりの世の中では
色も誕生するわけがないですよね。

新しい色が誕生する世の中は、言い換えれば
「平和」ということなのだ、と改めて思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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