和の色名~日本を代表する色・青系の色~

blueandgreen 和の色名
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こんにちは、カラープランナーの かわべ みえ です。

今年は驚くほど梅雨入りが早かったですね。
まだ入梅して数日ですが、すでに雨の季節に気が滅入ってきています。

雨も必要だけれども、やはりカラリとした青空が好きです。

そんな今日は青系の和の色名をご紹介したいと思います。

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古代のアヲ

日本を代表する色の一つとも言える「青」。

とはいえ、古くは青を染めるのはとても難しく、
庶民には無縁の色でした。

また、「青」と言えば「藍」を連想しますが、
古代「藍」は色名ではなく、染料の総称でした。

平安時代には「藍」がつく色は4つあったと言われています。
延喜式に記録が残っているのが深藍(ふかあい・こきあい)、
藍(なかのあい)、浅藍(うすきあい)、白藍(しらあい)です。

いずれも黄みのある緑系の青でした。
(この表現がすでにヤヤコシイですね・苦笑)

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深藍(ふかあい・こきあい)

藍色の中で一番濃い色。

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浅藍(うすきあい)

深藍を薄くした色です。

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白藍(しらあい・しろきあい)

白藍は藍色の中で一番薄い色です。
藍だけでなく黄色が入っているので少し緑がかっています。

※中藍については資料を探しているのですが、
色の数値が不明です。分かり次第、追記します。

因みに、藍だけで染められた色は
「縹色(はなだいろ)」と呼ばれます。

※以下もあわせてどうぞ。

和の色名~はじまりの色~

和の色名~黎明の時の色~

和の色名~江戸時代の色~

青は、藍染は行われる前は、青い花の色で染められました。
古代、様々な名前で呼ばれていた露草の花を搗き、
そこから青い汁を布に擦りつける、という方法で染められました。

この方法は褪色しやすく、藍染が始まるとともに、
染色法は姿を消し、色名だけが残りました。

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露草色(つゆくさいろ)

夏に青紫色の小さな花を咲かせる露草の花の汁を、
摺りつけて染めた色です。

露草は「付草(つきくさ)」とも呼ばれますが、
この名前は、花を付けるように染色したところが由来のようです。

色が落ちやすいので、万葉集では「うつろう」や
「消える」などにかかる枕詞として使われています。
その多くは恋人の心離れを嘆いたものです。

また、時間が経過することや水で消えるという性質を利用して、
友禅染めの下絵を描くのにも用いられています。

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移色(うつしいろ)

露草を摺りつけて移した色。
褪色が激しいので「心移り」を連想した色名です。

青が庶民の色に

木綿の布が初めて作られたのは、15世紀の室町時代。

ですが、その頃は定着せず、その後19世紀の江戸時代に、
全国で綿花が栽培されるようになり、
木綿の普及とともに藍染が一気に広がり、
青が庶民に浸透しました。

一般的に染料は動物繊維によく染まるとされます。
植物繊維には染まりにくいのですが、
藍は他の染料と異なり、木綿と相性がよく、
とても染まりやすいようです。

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百済藍(くだらあい)

百済の国から伝わった藍色です。

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韓藍色(からあいいろ)

色みが全く異なる2つの説のある色です。
色みの異なる韓藍色はコチラをどうぞ

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印度藍(いんどあい)

インディゴと呼ばれるのが、この印度藍です。
濃く染めると、蓼藍(たであい)より暗くなります。

余談ですが、「藍屋(あいや)」とは、
藍染の材料の「蒅(すくも)」をつくる職人や業者を指します。

※コチラもあわせてどうぞ
天然染め~薬にならない植物はなく、染料にならない植物はない~

和の色名 夏の色~文月・七夕のころ~

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紺色(こんいろ)

藍を濃く染めだしたもの。

※「紺屋(こんや・こうや・そめや)」とは
蒅(すくも)を使って藍染の職人や業者を指します。

藍甕(あいがめ)に蒅(すくも)とアルカリ(灰汁)を入れ、
発酵させることを「藍を建てる」と言い、
そこに糸を浸して染め上げます。
浸す回数が多いほど濃い藍色となっていきます。

染色職人は色別に存在したそうです。
色別に紫師(むらさきし)、紅師(もみし)、茶染師(ちゃぞめし)
などと呼ばれていましたが、中世末期には染殿(そめどの)と
呼ばれるようになりました。

そして、中でも、紺染めが大半をしめていたため、
総称して染色職人や業者を「紺屋」というようになったようです。

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濃紺(のうこん)

紺色のさらに濃い色です。

和の色名

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花緑青(はなろくしょう)

青をあらわす「花」をつけて、緑青と区別しています。
19世紀初頭のパリで生まれたパリス・グリーンと同じ色です。
有毒な成分が使われていたため、色名だけが残っています。

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花葡萄色(はなぶどういろ)

青みの葡萄色のことで、くすんだ紫、とする説もあります。

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高麗納戸(こうらいなんど)

歌舞伎の「高麗屋」に因んだ色名です。

納戸色は藍染が古くなり、色褪せて渋くなった色。
それに別の色をかけあわせ、江戸時代にはたくさんの
「○○納戸」という色が生まれました。

納戸四十八色、と呼ばれるほど多く、
これもその中の一つです。

※色に「48」という数字がついているものが多くありますが、
これは「多い」ことを表していて、48色というわけではありません。
「四十八茶百鼠」とよばれている茶色と鼠色は、
実際にはこの2つの色みで千色以上あったそうです。

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江戸納戸(えどなんど)

納戸色に比べて、明るく、少し紫がかった色です。

※納戸色はコチラをどうぞ

sabinanndo

錆納戸(さびなんど)

納戸色をくすませた、灰みの強い色です。
色名の最初に「錆」がつくと、くすんだ色になります。

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錆浅葱(さびあさぎ)

浅葱色をくすませた色です。

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青黛(せいたい)

丁髷(ちょんまげ)頭の頭頂部や
眉を剃ったあとを青く見せた色のこと。

歌舞伎の青い隈取にも使われています。

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群青色(ぐんじょういろ)

群青はその字のとおり、「青の集り」を表しています。
かつては群青で表現されるものは如来像や菩薩像の頭髪など、
尊いとされるものばかりでした。

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白群(びゃくぐん)

飛鳥時代に中国から伝わった、
鉱物のアズライトを原料とする青色顔料の色です。

岩絵の具を砕くと、粒子が細かくなるほど色みが薄くなります。
百群はとても粒子が小さく、淡い青をしています。

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呉須色(ごすいろ)

「呉須」とは、陶磁器の文様を描く顔料の色です。
呉須で描いた模様の器を染付(そめつけ)と言います。

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伯林青(べれんす)

1704年に伯林(ベルリン)と巴里(パリ)で発明された
顔料の色です。

呉須の青色に魅せられたヨーロッパの人々が生みだした青と
言われています。

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藍摺(あいずり)

浮世絵の様式の一つで藍一色で摺った版画を
「藍絵」と言いますが、その色のことを表現した色名です。

今回の記事もかなり長めになってしまいました。
青い空が待ち遠しい梅雨空の元、
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

次回は紫系の色を紹介する予定です。

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